ポケモンバトル・ガチ対戦を楽しむための、戦術・戦略の基本のキ
※11/29に8世代の内容を追加しました。
この記事ではポケモンバトルのガチ対戦初心者向けの、シングルバトルにおける戦術・戦略の基本のお話をします。剣盾で初めてガチ対戦を始めたい、もしくは今までのシリーズで勝てなかった人向けです。
そしてこの記事では、どのポケモンが強いのか、どの並びが強いのかというポケモン単体の話はしません(他に記事がいくらでもあるため)。
そのため、退屈な話が長々と続くこととなってしまいます。参考書や教科書のような感覚で読んでいただけると幸いです。
0.諸注意
・8世代の話はまだわからないので、例に挙げるポケモンは7世代の環境を意識して紹介します。内容は世代を問わない一般的な戦術、戦略の話をします。
・ストーリーで殿堂入りができ、育成と3値、持ち物についての知識がある前提での話をします。このあたりの話はポケ徹等様々なサイトで紹介されているため、それを参考にしてください
↑3値についての記事
もちもの考察 - ポケモン対戦考察まとめWiki|最新世代(ウルトラサン・ウルトラムーン&サン・ムーン)
↑持ち物についての記事
・ポケモンバトルというのは頭脳戦、情報戦です。初心者が感覚で適当に戦っても勝ち抜くことは難しいです。読みあいや意表を突く、戦略を通すという、ポケモンバトルのおもしろさ、奥深さを味わうためにはそれだけの知識を得ることが必須です。この記事ではそのために、ポケモンバトルはどういうものかという説明をしていきます。
・シングルバトルの話をします。
↑サムネ用
1.はじめに
-自己紹介-
第5世代~第7世代でレートをしていた者です。最高レートは2050
基本的に1600~1800をうろちょろする、ガチエンジョイ勢? と思ってください。
好きなポケモンで勝ちたいタイプで、7世代ではサンダース入り2000、ドサイドン入り1900、キリキザン入り1900、ファイヤー入り1800等
まあそれなりの強さがありつつ、最強レベルではないくらい。この記事にもそれなりに信頼性や妥当性ありますよーってことが言いたかった。
-ポケモンバトルとは-
ここではシングル63についての基本の基本の話をします 。
まずお互いに6匹ずつポケモンを持ち寄って見せ合い、その中からお互い3匹ずつ選び、その3匹で対戦します。
そして相手にこちらのポケモン3匹が倒されるより先に、相手のポケモンを3匹すべて倒すことが勝利の条件です。
まあ基本の話なのでいまさら言うことでもないかもしれませんが……
ここでひとつ問題です。
最初のターン、自分がとれる行動と相手の取れる行動は計何通りでしょうか?
自分がとれる行動は、場に出ているポケモンの技4つと、控えのポケモン2体のどちらかに交代する、計6通り、相手の行動と合わせて、6×6の36通りが答えです
その36通りを毎ターン互いに選んでいくのですが……
ではこのような場合はどうでしょうか?
自分:場にカプ・コケコ。控えポケモン1体
vs
相手:場にヌオー。控えポケモン2体
このような状況では36通りではありませんね。地面タイプに電気技は撃てないうえ、交代できるポケモンの数が少ないこちら側の取れる手は6より少なくなります。そしてどちらが有利かというと明白で、打てる手の少ない自分側が不利です。
この”手の多さ”というのはポケモン対戦において有利不利を左右する重要な要素の一つです。
ではこれから、どうやって有利な状況に持って行くのか、そして最終的に勝つためにどうすればいいのかを4つのステップで解説していきます。
2.対面
-基本-
まずは基本の話をしましょう。とれる手は「技4つ」と「交代2匹」の6通りと言いましたが、どちらの手をうてば全体的に見て有利になれるでしょうか?
答えは「技4つ」です。
基本的に交代をするということは、「技を撃たない」ということになるため、損になりやすいです。そのため、できれば技を撃ちたい。
vsの状況を振り返りましょう。
この状況はカプコケコの電気技は地面タイプのヌオーに無効にされ、逆にヌオーの「じしん」で一撃で倒されてしまいます。
このとき、カプコケコは倒されるのが目に見えているため、「技を撃つ」選択がとれません。でも、このとき「草結び」をカプコケコに覚えさせていれば……?
立場が逆となりますね。草結びで一撃でヌオーを倒せるようになります。これは「技範囲をひろげる」という手段で有利不利をひっくり返しました。
こうして有利不利を技構成や持ち物、努力値調整などで逆転させていき、多くの敵に1対1で有利をとれるようにする戦術を対面戦術といいます。
そして、1対1の状況のことを対面、そのなかで技を撃ちあって相手を倒せる状況を対面有利、逆を対面不利と言います。この場合、草結びを持ったカプコケコはヌオーに対面有利です。
対面有利の状況を作り、1対1の勝負に3度勝つことができれば相手のポケモンをすべて倒すことができ、勝ちになります。
そのため、多くのポケモンに対面有利を取れるようなポケモンを揃えることが一番わかりやすい勝ち方です。
では、そのような”対面に強い”ポケモンはどのようなポケモンでしょうか?
-素早さ・行動保障-
次の状況を見てください
vs
これは不利対面ですね。ですが、前のvsとは異なる要素があります。
そう、すばやさです。
ガブリアスはリザードンよりはやく、上から岩タイプの技で一撃で倒されてしまいます。
ポケモンバトルはすばやさが1でも高ければ必ず先に行動できるため、リザードンはガブリアスの前では一度も行動できなくなってしまいます。
行動を確保できなくなれば、前のカプコケコのように、「めざパ氷」を持たせ「技範囲をひろげた」としてもガブリアスを倒せません。
このように、素早さの高さは相手の行動回数を奪いやすい、ということになります。逆に言えば、素早さが高ければ高いほど行動回数を確保しやすい。こうした行動保障というのは対面において最も大切な要素です。
”対面に強い”ポケモンというのは、多くの相手を1撃ないし2撃で倒せる「技範囲」や「火力」をもつポケモン、そして高い「素早さ」や「行動保障」を持つポケモンです。
「行動保障」をもつポケモンはどういうポケモンでしょうか? 上の説明から、高い「素早さ」はもちろん、相手の攻撃を耐えることが出来れば行動ができるため「耐久力」「弱点の少なさ」もあればよいです。技でいえば「先制技」は必ず行動が出来るため強いです。
「きあいのタスキ」等、道具を用いて行動保障を持つこともできるほか、「マルチスケイル」「化けの皮」などの特性によって行動保障をもつポケモンもいます。
こうした要素を高い次元で、より多く持つポケモンは”対面に強い”と言えます。
ここまでの話を総括すると、より多くの相手に有利対面をとれるようにしたい。そのため対面に強いポケモンで揃えて1対1に3回勝てばいい。これがポケモンバトルです。
まあ、そんな単純なゲームではないですよね
3.サイクル戦
-基本-
これまでの話で対面と呼ばれる1対1の状況について説明しました。しかし、ポケモンバトルは1対1のゲームではなく、3対3での勝負です。最初の状況を思い出しましょう。
vs
控えのポケモンも設定してみました。
今、カプコケコは「草結び」をもっていないとします。そうするとこれは不利対面の状況のままということになります。このときはどうするべきでしょうか?
ここで「交代」の手をとることになります。控えのジャローダに交代しましょう。
(じしんのダメージ)
vs
交代の際に「じしん」を受けますが、半減なので、ダメージを最小限に抑えられます。もちろん交代は一手損なのですが、これで対面の有利不利が逆転しましたね
ジャローダは草技で一撃でヌオーを倒すことが出来ます。こうなると相手も「交代」の手をとってきます。
(じしんのダメージ)
vs
(リーフストームのダメージ)
また有利不利が逆転しました。スカーフを持つことが多いサザンドラは上から「悪の波動」2発でジャローダを倒すことが出来、ジャローダは半減される「リーフストーム」しか攻撃技を持たないことが多いです。よってまた交代しましょう
自分:場にカプコケコ。控えポケモン1体(ジャローダ(ダメージ有))
(悪の波動のダメージ)
vs
(リーフストームのダメージ)
ここでも有利不利が逆転し、カプコケコのフェアリー技でサザンドラを倒せるようになりました。つまり、また交代がおきるということで、
自分:場にカプコケコ。控えポケモン1体(ジャローダ(ダメージ有))
(悪の波動のダメージ)
vs
(マジカルシャインのダメージ)
相手:場にヌオー。控えポケモン2体(サザンドラ(ダメージ有)、スイクン)
最初の対面に戻りましたね。こうやってお互いに交代を繰り返しダメージを入れていくことをサイクル戦といい、ポケモンバトルの基本の流れになります。
ここで重要なのは、互いに少しづつダメージが蓄積されているということ。どちらかに、ダメージを負いすぎて戦闘不能のポケモンが出てくるとサイクル崩壊となって勝敗が決まります。
-一貫性-
サイクル戦の肝となるのは、いかに相手からのダメージをおさえつつ、より多くのダメージを相手に与えられるのかです。
そのため”サイクルに強い””とされるポケモンや並びは「耐久性」と「半減以下の耐性の多さ」、そして「技の一貫性」と「一貫性を切れるか」が重要な要素なります。
ここで新しい例を確認しましょう。
自分:場にナットレイ。控えポケモン2体(ヒードラン、ガブリアス)
(滝登りのダメ―ジ)
vs
(タネマシンガンのダメージ)
これは不利対面ですね。なので交代するべきなのですが……?
実はいうとこれは既にサイクル崩壊しています。ルカリオのインファイトに受けだせるポケモンが控えにいません。こうした状況を、格闘タイプの技の一貫ができる、と言います。
一貫ができると、その技のダメージを抑えることができず、交代しても大ダメージを受けてしまいます。このような状況にしないことが大切で、逆をいうとこのようにこちらの技が一貫する状況をつくることが勝ちにつながります。
技の一貫性とはこのような状況の作りやすさを言い、攻撃技の半減や無効タイプの少なさがそのまま評価につながります。
電気、地面、格闘、ドラゴン等は「一貫性が高い」ものの無効タイプを持つため少し評価が落ちます。飛行、フェアリー、水等は無効タイプがなく「一貫を切られにくい」ため、障害となるポケモン(飛行なら電気タイプ)に十分ダメージを入れることで一貫をつくれます。
一貫性を切るというのはこの状況をつくられないようなポケモン、並びにすることです。例えば有名なサザンガルド(サザンドラとギルガルド)の並びは
弱点:炎ゴースト悪地面
耐性:ドラゴンフェアリー格闘氷虫(飛行草ノーマル毒岩鋼エスパー)
弱点:ドラゴンフェアリー格闘氷虫
耐性:炎ゴースト悪地面(水電気草エスパー)
互いに弱点を補いつつ、多くのタイプに耐性と無効タイプをもつため、「一貫が切れる」並びです。
-数的有利-
控えポケモンが2体のときと、1体しかいない時、どちらが有利でしょうか?
1体しかいない方が負けに近づいているため、もちろん不利であると言えますが、サイクルの強度的にも不利になってしまいます。
自分:場にカプコケコ。控えポケモン1体(ジャローダ(ダメージ有))
(悪の波動のダメージ)
vs
(マジカルシャインのダメージ)
相手:場にヌオー。控えポケモン2体(サザンドラ(ダメージ有)、スイクン)
この状況を思い出しましょう。相手のスイクンはどうなっているでしょうか?
スイクンはサイクルに参加できません。それもそのはずで、カプコケコにもジャローダにも受けだしたところで勝てないからです。
ですがこのスイクンは”捨て”に使えます。カプコケコのマジカルシャインは一貫ができているため、ヌオーでは何度も受けだすことが出来ません。そのためスイクンをサイクルに挟むことで、ヌオーをマジカルシャインに被弾することなく出すことが出来ます。
数的有利というのはうまく扱えば有利状況を維持するための手になるため意識しましょう。うまく数的有利をつくれるトレーナーは強いです。
-今の対面は有利か不利か?-
「不利対面」なときに、「有利対面」となるように交代を繰り返していく、それがサイクル戦ということが理解していただけたかと思います。
ここで出てくる疑問は、実際に対戦していて、現在の対面が有利か不利か、どうやって判断するのか、という話です。
対面の有利不利は、実際にお互いが交代せず、技を撃ちあったときに最終的に勝てる方が有利、という話なので、例えばvsのようにタイプ相性的にも素早さ的にもわかりやすい有利不利はもちろん、vsのように実際に技を撃ちあってみた結果ガブリアスが勝つパターンが多いからガブリアスの有利対面、みたいな難しい例もあります。
そのため基本的に習うより慣れろ、な部分が多いです。実際にどのポケモンとどのポケモンが対面したときにどちらが有利なのか、というのはポケモンの数だけバリエーションがあるのでキリがありません。上級者ですら、対面の有利不利の判断を完璧にするのは難しいです。
パーティを組んだ時、最初の数戦は自分のどのポケモンが相手のポケモンとの技の打ち合いで勝てるかを把握しきれてなくて、不利な対面でつっぱって負ける、ということも多いです。実際に有利だと思って突っ張ったが負けてしまった、となった時は、これは不利対面だ、だから次同じ対面が起こった時には交代できるように引き先となるポケモンを用意しよう、という風に考えましょう。
-有利不利の確認-
有利不利かはやってみないとわからないですが、わからないからといって実際に対面勝負をやって対面負けしてしまうとそれでは試合にも負けてしまいます。ここは後述する「読み」の話にもかかわってきますが、対面が不利かもしれない時はそれをできる限り試合中に確認するのも重要です。
vs
この対面、上の説明で、カプコケコが「草結び」を持つことで有利対面にすることが出来ること、逆に「草結び」を持っていない時は不利対面だ、ということを説明しました。つまり、カプコケコの技構成を知っている自分側しか有利不利が把握できておらず、相手視点では有利不利を把握できていないということになります。
このとき、相手はどういう手を取るでしょうか。「草結び」もっていないと「読んだ」場合は上の説明のように交代せず地震でカプコケコを倒しに来るでしょう。しかし、「草結び」を持っているかもしれないと考えた場合は?
ここでは草結びを持っているかどうかの確認の一手をとるでしょう。つまり相手はサザンドラに交代をしてきます。
vs
(草結びのダメージ)
これでカプコケコが「草結び」を使ったため、「草結び」を持っていることがバレてしまいます。このようにして実際に有利か不利かを確認するということも大切です。
もし相手が「草結び」を持っているかもしれないと考えたが、自分のカプコケコが本当は「草結び」を持っていなければ?
自分も不利対面だと思っているため交代をするので、次のような状況になります。
vs
ここではカプコケコは「草結び」を撃っていませんが、わざわざ交代したのは「草結び」を持っていないからだ、という風に「読まれて」、「草結び」を持っていないことがバレてしまいます。
このように、できる限り有利不利を慎重に確認していくのも有効な手段です。もちろん、「交代」は一手損となりやすいため、多用する手ではないので、そこは注意しましょう。
4.詰め
-勝つための条件-
これまで2つの状況、戦術について話をしました。「対面」と「サイクル」です。この二つの要素を混ぜながら、勝つための最後の詰めの話をしていきましょう。
もう一度勝利の条件を確認します。相手にこちらのポケモンを3匹倒される前に、あいてのポケモンを3匹倒すこと。
対面で3回勝つという方法はわかりやすいけど、サイクル戦で3匹倒すこと、「サイクルを崩す」ということはどうやって行えば良いのでしょうか?
自分:場にゴウカザル。控えポケモン2体(ルカリオ、ギャラドス)
vs
相手:場にガブリアス。控えポケモン2体(ヒードラン、ナットレイ)
これは上の一貫の説明で使った状況になる前の話ですね(説明のため自分と相手のパーティ入れ替えた)
つまり、次の状況に持って行けば、インファイトの一貫が出来て勝ちです。
(タネマシンガンのダメージ)
vs
(滝登りのダメ―ジ)
相手:場にナットレイ。控えポケモン2体(ヒードラン、ガブリアス)
そのためにどういう手を取ればよいでしょうか? まず、ゴウカザルでガブリアスの襷をつぶすためにダメージを入れインファイト圏内にします。その後ギャラドスをだし、相手にナットレイに交代させるよう仕向け、そしてナットレイに合わせてルカリオを出せばこのような状況になります。詰めというのは勝ちの状況をみつけ、それを作るためのルートを見つけることです。
詰めには様々な状況とルートがあります。
「相手のバシャーモを倒せば、こちらのカビゴンを突破できるポケモンはいなくなる」「カプレヒレに十分ダメージを入れれば、ギャラドスで全抜きできる」「こちらの控えがミミッキュなため、どうにかして最後の対面勝負に持って行けば勝てる」等々...
これらのルートを見つけ、通すことで勝ちを目指します。
もちろん相手がどのポケモンを選出したかは見てみないとわからないため、実際にサイクルの中で確認したり、構築から読んだりして特定し、勝ちの状況を考える必要があります。この詰めの要素はポケモンバトルの醍醐味、面白い部分の一つです
そしてここで最後の戦術、変化技による積みと詰ませの話がでてきます。
-積み技-
積み技というのは、この勝ちの状況をつくるというのに直結する要素となります。
次の状況をみてみましょう。
vs
有利対面ですが、ガブリアスはカバルドンに容易に受けられてしまう上、カバルドンは「なまける」により回復ができるため、サイクル不利、なおかつ後述の、カバルドンに「詰まされた」状況と言えます。
しかしここでガブリアスが「剣の舞」ができれば、カバルドンに2倍の火力で攻撃できるようになり、受けが効かなくなり、サイクルを崩すことができます。
他の例をみましょう
自分:場にクレセリア
vs
相手:場にポリゴン2。控えポケモン2体(ヒートロトム、ゲンガー)
一見不利にみえる状況ですが、もしクレセリアで「めいそう」を積めれば?
相手はゲンガーのシャドーボールでクレセリアを突破できなくなり、そうするとクレセリアを倒せるポケモンがいなくなります。こうして「詰ませる」ことでも相手を崩すことが出来ます。
「宿り木+守るでテッカグヤを突破できなくする」「グライオンやドヒドイデで回復しつつサイクルをまわし突破できなくする」等も詰ませの手となります。
このように積み技を積むということは、相手を崩し勝ちの状況を作る手といえます。
-積みの起点-
積み技というのは1ターンを使います。そのため、攻撃も交代もせず、相手に1手動かれることとなってしまいます。そのため、下手なタイミングで使っても不利になるだけです。
積みの起点というのは、その積み技ができるタイミングのことを言います。
例えば、次の状況
自分:場にメガルカリオ
vs
相手:場にポリゴン2。控えポケモン2体(メガボーマンダ(ダメージ有)、アシレーヌ)
この状況ではインファイトの一貫はできていません。しかし、有利対面でかつ、相手からの攻撃はルカリオが一発耐えることが出来ます。つまり、「剣の舞」をする余裕があり、この状況が起点となる対面です。このとき、ポリゴン2はルカリオの剣の舞の起点になると言います。
ここで剣の舞を積めれば、相手のポケモン全てを一撃で倒すことが出来るようになります。
こういう起点となる状況を作る、というのが勝ちの状況を作るルートの一つになります。
また、起点作りという戦術も存在します。
上の状況は積み技を使いたいポケモンを、起点となるポケモンに合わせることで積むチャンスを作りました。”起点作り”はその積むチャンスを、他のポケモンないしは自身の技で能動的に作り出すことをいいます。
「あくび」や「拘りトリック」等で相手の動きを制限したり、「鬼火」や「置き土産」、「光の壁」「リフレクター」等でダメージを抑え起点にできる範囲を増やしたり、「電磁波」や「岩石封じ」で素早さを下げ有利対面をつくり交代を強要し、そのスキに積んだりと、様々な方法があります。
これらを用いて能動的に積み技を決める戦術を展開戦術といいます。
-特殊戦術-
積み技以外にも「トリパ」や「天候パ」、バトンや重力展開等の「ギミックパ」も”展開戦術”に数えることが出来ます。どれもエースを通すことを勝ち筋とし、他のポケモンでエースの暴れる場を整えることを詰めのルートとします。
-詰められなくするには?-
詰めのルートを探っているのは相手も同じです。そのため、相手の詰めのルートに気づき、それを阻止することも重要です。
しかし、そのルートに気づかず、相手に積み技を使われてしまったら?
もちろん起点にされないように立ち回るのも大切ですが、積み技を使われても切り返せる保険を用意しておくのも大切です
たとえば、相手の「ウルガモス」に”蝶の舞”をされてしまったとき、こちらの裏に「襷キノガッサ」や岩技を持った「スカーフゲッコウガ」等がいれば?
相手に全抜きされることなく止めることが出来ます。こうしたポケモンをストッパーと言います。ストッパーの適正があるポケモンは、「行動保障」を持ったポケモンです。
展開戦術を相手にするときはストッパーを用意しておくことで保険となり、逆に自分が積み技で展開するときは相手のストッパーに注意するべきでしょう。
相手のストッパーとなるポケモンを倒せば、詰めのルートにつながります。
5.構築・選出
ここまでで、3対3のポケモンバトルの戦い方を紹介しました。
1対1の勝ち方である「対面」、交代を繰り返し戦う「サイクル戦」、隙を見て相手を崩し詰めにかかる「積み・詰ませ」の3つです。
それぞれの要素を意識し、ここからは最初の見せ合い6匹のポケモンをどのように用意するかという構築と、そのなかから3匹を選ぶ選出の話をします。
-3つの要素-
「対面」「サイクル戦」「積み・詰ませ」のうち、どの要素をそれぞれ意識しているかによって「対面構築」「サイクル構築」「展開構築」と構築の種類が分かれます。
もちろん、”強い構築”というのはそれらの要素を複数、それも高い次元で持つものもあります。
有名な7世代共有パ((or))というのは、
マンダガルドのサイクル戦術、カバマンダ+コケコor(ミミorツルギ)の展開戦術、マンダゲコ(ミミ)の対面戦術と
選出によって複数の戦術を扱える強力な構築でした(その分扱いも難しい)。
選出の仕方によって様々な相手に対応できるような、自分なりの構築を組むこと。それもポケモンバトルの醍醐味の一つでしょう。
構築の組み方は様々で、いろいろな構築記事で読むことが出来ます。
ここでは組み方について紹介しないので、構築記事を読み漁って面白い構築と、その組み方をぜひ見つけてください。最初は他の人の構築を借りて、自分に合ったポケモンと戦術を見つけるのがいいと思います。
強い構築は”どの要素”が”なぜ””強いのか、構築記事を読みながら紐解いていくと発見があると思います。
6.読み
ここまでで、ポケモンバトルの基本の話は全て完了しました。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
これまでの知識をそろえることで、ようやく読みの話をすることが出来ます。
この読み合いの要素こそ、ポケモンバトルの最も面白い部分です。
それぞれの場面においての”読み合い”について紹介していきます。
-構築・選出の読み合い-
まず最初の見せ合いの6匹から、選出する3匹を選ぶところでの”読み合い”です。
読みたいのは相手の選ぶ3匹とその中から選ぶ初手の1匹です。
次の例を見てみましょう。
自分 相手
有名なゲンガブカグヤ構築vsカバリザテテフ構築ですね
こういったとき、お互いにどういう選出をするでしょうか?
選出において重要なのは「役割」「危険度」「並び」です。
まず、「役割」について
この見せ合いでまず出てこないポケモンはどれでしょう?
この2匹は不利をとる相手が多く、刺さっていません。(特にこの場合メガ枠に勝てないのが大きい)選出してももてる役割が薄いため、候補から外れます。
次に「危険度」を見ましょう
基本的にステータスの高いポケモンは危険度が高いといえるのですが、互いにとって一番危険度の高いポケモンは何でしょう?
答えは「ガブリアス」と「カプテテフ」です。
自分視点ではテテフをサイクルで止められるのは「テッカグヤ」だけ、相手視点では「ガブリアス」はメガ枠どちらも不利をとる上、対面有利は「カプテテフ」と「カバルドン」だけ、そして高い素早さからステロをはじめ何かしらの行動を許されてしまいます。
最後に「並び」
有名なガブカグヤやカバリザの並びというのは基本的にサイクルの強度が高いため、それを崩したくありません。
こうなると互いにとる選出が見えてきますね。
相手は危険なガブに強めな「カプテテフ」を選び、こちらはそれに強い「テッカグヤ」を、そしてまた相手はカグヤにつよい「リザードン」を選出し、こちらもそれにつよい「ガブリアス」を選びます。
そうして自分はガブカグヤ@1、相手はテテフリザ@1となります。ここまではほぼほぼ読めるでしょう。
残りの一体ですが、相手は「並び」の関係上「カバルドン」を選ぶと予想できます。そしてこちらは「リザードン」「ゲンガー」どちらかですね。この最後の1体は実際のポケモンの調整や技構成によって変わってくるので読みを外す可能性が高い枠と言えるでしょう。
そして最後の”初手予想”ですが、今回は難しいですね。お互い初手性能(対面性能)の高い「ガブリアス」「カプテテフ」と予想できなくもないですが、今回ははっきりと決め手となる部分がなく読みづらいです。
こんな風に、選出というのは理詰めで読むことが出来ます。逆に相手に理詰めで読まれ、対策の薄いポケモンを出されたり、選出が誘導されて相手の用意したギミックにはまってしまうこともあります。そしてそれはこちら側も同じで、あえて読みから外れたり、相手に読ませてそこに仕掛けをしこんだりできるでしょう。
-型・行動の読み-
実際に3匹選出した後の実際の毎ターン読み、通称「択」の話に入っていきます。
行動を読むためには「対面の有利不利」と「型の認識」、「余裕があるか」が重要な要素でしょう。
自分:場にガブリアス。控えポケモン2体(テッカグヤ、メガゲンガー)
vs
相手:場にカプテテフ。控えポケモン2体(カバルドン、メガリザードンY)
上の状況はは初手対面で、互いに控えのポケモンがばれていない状況とします。
この対面はほぼ不利対面でしょう。「型の認識」がかかわってきます。
自分の構築は有名なガブカグヤで、持ち物が7割スカーフ、2割タスキです。そのなかでも構築的に積み展開に見えづらいため、あいては”スカーフ型”と認識するでしょう
ならばムーンフォースで一撃で倒せるため、相手の有利対面です。ならば相手の行動はどうなるでしょうか?
ここでは「ムーンフォース」か「サイコキネシス」を撃ってくると読めます。相手の有利対面なため交代する必要がないため攻撃、そしてガブを一撃で倒せるムンフォor火力的に一貫して裏にダメージを与えられるサイキネです。これは簡単に読めるため、テッカグヤに交代してサイクルをまわしましょう。
ですが「10万ボルト」をカプテテフが覚えていたら……? 果たして交代を”読んで”撃ってくるでしょうか? 素直に攻撃するか裏を読んだ行動をするかの”択”が発生します。ここでの読みは「余裕」の有る無しがかかわります。
次の例を見てください
自分:場にテッカグヤ。控えポケモン2体(ガブリアス、メガゲンガー)
(ムンフォのダメージ)
vs
(ヘビーボンバーのダメージ)
相手:場にメガリザードンY。控えポケモン2体(カバルドン、カプテテフ)
実際に数ターンサイクルをまわせばこうなるでしょう。
これまた不利対面です。なのでこちらとしてはガブリアスに交代したい。ですが相手が”読み”、「めざパ氷」を撃ってくるかもしれない。相手は撃ってくるでしょうか?
vsとvsはどちらも不利対面ですが、違うところがあります。
相手の「余裕」の度合いです。
前者はカプテテフには「10万ボルト」を撃つ余裕がありません。ガブリアスの持ち物をスカーフor襷であると認識しているため、対面勝負なら相手に行動を許し、じしんを食らってしまいます。そして”2発”耐えることが出来ない。
よってテテフはガブを速やかに倒さなければならず、交代を読む行動をする「余裕」がない(リスクが高い)
逆に後者はリザードンに「余裕」があります。テッカグヤは上から一撃で倒せ、さらに相手からの攻撃もまだ数発耐えることが出来ます。たとえ「めざパ氷」を選んでテッカグヤが交代してこなくても有利状況は続きます。よって低リスクで交代読み行動ができます。
このように、「対面有利」と「余裕」のあるなしによって、”読み合い”のながれも変わってきます。
-有利な読み合い・不利な読み合い-
上のサイクルは不利サイクルといえるでしょう。
vsの対面が出来てしまえば、不利な読み合いに勝たなければこちらのサイクルが崩壊して負けてしまいます。
こういった不利状況でこそリスクを背負った読みを通す場面です。
例えば、サイクルの途中でvsとなったとしましょう。
相手はおそらくに交代するでしょう。そうすると最悪の対面を作られてしまいます。
そこが交換読み行動をするタイミングです。
例えば、交換を読んでに交代できれば、こちらの有利対面を維持することが出来ます。
ここで重要なのは「リスクとリターン」です。
交代読みをという「リスク」ある行動をとった結果有利になる「リターン」がなければなりません。
この場合、有利対面を作れはしたものの、ガブリアスは相手の裏のカバルドンに容易に受けだされてしまいます。そこでカバルドンに切り返されてしまえば結局「リターン」が得られないこととなってしまいます。そのような「リターン」が得られないような「リスク」は背負うべきではありません。
この場合は「リターン」がないでしょうか? いいえ、ここでvsという有利対面をつくったことにより、また”交代読み”を決めることが出来ます。
の交代に合わせてステロを巻ければ、リザードンの動きを大きく制限することが出来ます。十分な「リターン」です。
ちなみに、この”読み”はガブリアスにはする「余裕」がありません(めざパ氷うたれたら即負けです)。故にとてもリスクの高い行動であるといえます。
こうしたリスクのある読みは有利状況では行うべきではありません。不利状況を有利状況にひっくり返すため、もしくは有利状況が不利状況にひっくり返されそうになるタイミングで、この”択”を通すべきです。
そしてこの「読み・択」を通し、勝った瞬間が最もポケモンバトルが楽しい瞬間だと、私は思います。
このおもしろさを味わうことが出来れば、もう既に十分つよいポケモントレーナーであると言って良いでしょう
7.最後に
ここまで読んでくださりありがとうございました。ポケモンバトルの醍醐味である、「詰め」「構築」「読み」と、それを楽しむための基礎が十分伝わったならば幸いです。
この記事では理論的なことを紹介しましたが、実践的なことはほとんど触れていません。
実際にどういうポケモン、並びが強く、どうやって読みを制するか、強い構築を組むか、詰めのルートを探るかについてはこの記事を読むだけではわからないと思います。
ですがこの記事の内容を理解することで、バトルの流れや構築記事が何を書いているのかが分かるようになるでしょう。
↑構築記事を集めてるサイト
「詰め」「読み」については様々な有名な強い実況者の動画を見れば、「構築」は有名な構築記事を読めば、理解が深まると思います。
この記事で、紹介した戦術等について適宜参照しながらそれらを確認するとおもしろいかと思います。
最後に、ここでは7世代までのセオリーを書きました。おそらく8世代でも、システムや環境は変われど、基本となる部分は変わらないと思います。
この記事を読んで、ガチ対戦に挑戦したい! と思っていただけたら幸いです。是非、ポケモンバトルを楽しんでください。ありがとうございました。
8.追記:ダイマックスについて
第8世代でのランクマッチが始まりましたね
私も先日ようやくマスターボール級に上がることができました。ランクマッチを戦う中で感じたことを紹介します。例によって強いポケモンや並びにはほとんど触れないのでご了承ください。
-ダイマックスについて-
今作から追加されたダイマックスについて、どこがどう強いからバトルの中心要素になっているのか、私の見解で述べていきます。
まずダイマックスの基本
・試合中に一度だけ、3ターンの間自身のポケモンをダイマックス化できる
・HPが1.5~2倍になる
・技が強力なダイマックス技に変化し、威力が上がるほかフィールドや天候、互いのポケモンのステータスに干渉できる
その他、きかない技ができたり変化技はダイウォールになったり細かいことはありますが、今回は上3つだけについて話をします。
はっきり言ってこれやばい要素です
-3つの戦術+ダイマックス-
いままで「対面」「サイクル」「積み・詰ませ」の3つの戦術についてお話してきましたが、このダイマックスという要素、この3つ全てに関係してきます。
次の状況を確認しましょう
自分:水ロトム
vs
相手:ドリュウズ
今までの経験からいうと、これは不利対面といえます。特性「型破り」によりドリュウズはロトムの「浮遊」を貫通して地面技を撃つことができ、効果抜群で一撃で倒されてしまいます。
しかし、ここでこちらがダイマックスをすることで、有利不利が逆転してしまいます。
ダイマックスするとHPが2倍となるため、相手の技を耐えることが出来ます。そして、返しの水技で一撃で倒すことが出来ます。
不利対面がボタン一つで有利対面に、逆にこちらの有利対面が相手にダイマックスされることにより不利対面になってしまう、「対面戦術」においてかなり戦局を左右する一手となります。
「対面」に限らず、「サイクル」でも同じことが言えます。
そもそも「サイクル」というのは、不利対面だから「交代」し、有利対面にもっていく戦術です。しかし、せっかくうまく交代してつくりだした有利対面も、ダイマックスひとつで逆転されてしまいます。
そのうえ、ダイマックス技は、単純に技の威力が上がって受けだすのが難しい上、ステータスやフィールド天候に干渉されるため撃たれれば撃たれるほど不利になっていきます。そのため「交代」という一手分損になる手はダイマックスの格好の餌食となってしまいます。
「積み・詰ませ」においても、当たり前ですが「竜の舞」や「悪だくみ」をしたポケモンがダイマックスによってさらに強化されるとなると手が付けられなくなります。そのうえダイマックス技によって撃てば撃つほどさらに状況が有利になっていくため、そのままゲームエンドに持って行かれてしまいます。
総じて、ポケモンバトルの戦術すべてに関係する要素と言えるでしょう。
そして恐ろしいのが、このダイマックスはバトル中一度だけとはいえ、どのタイミングでどのポケモンにも使えるという点です。つまり持ち物をもたせる等、事前に準備することがなく、バトルのその場その場で必要に応じて必要なポケモンを強化できてしまいます。つまり、「読む」というのが非常に難しい。
ダイマックスをうまく使うことで、勝ちの状況にもっていったり、はたまた相手の勝ちのルートをつぶしたり、そもそもこのポケモンでダイマックスをすれば勝ちになるという状況にしたり、「詰め」の要素においても重要であると言えるでしょう。
-ダイマックスを有効に使う-
つまりは自分はダイマックスを有効に使い、相手にはダイマックスを無駄うちさせるようにすれば、状況は一気にこちらに傾きます。
「相手の交代のタイミングでダイマックス化し、こちらのダイマックス状態での行動回数を確保する」「相手のダイマックスを受けきれるポケモンを用意する」「相手の主力(ダイマックスと相性がいいポケモン)をこちらがダイマックスで奇襲し先に落とす」「積みの起点をダイマックスでムリヤリ崩す」等々……。
これからダイマックスを使った様々な戦術が確立され行くと思います。ダイマックスを制すトレーナーがバトルを制する環境になるでしょう。
-ランクマッチで感じたこと-
最後に、ランクマッチ中感じたことをお話します。
恐らく剣盾で初めてガチ対戦をはじめた方も多いと思います。ランク上げのため対戦を重ねてましたが、戦術、戦略を理解していないと感じる対戦相手が多かったです。
もちろん最初はだれでもそうなのですが、そのまま勝てなくて、勝てないからおもしろくない、おもしろくないからやめる、という流れになってしまっては、ポケモンバトルが大好きな私からすれば結構悲しいことだと思ってしまいます。
ポケモンバトルは知識をつければつけるほど、戦術・戦略を理解すればするほど、面白くなっていきます。
この記事がそういう初心者の方の助けになり、バトルの深みにハマっていってくれれば幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。